小児腎臓病外来
当院では腎疾患のあるお子さんのための小児腎臓病外来を行っております。
尿路感染の診断や、学校の検尿異常の精密検査、小児期に認めやすい腎疾患の検査等を専門的に行います。
尿路感染症
通常、尿はきれいで無菌です。ところが腎臓~膀胱までに細菌が感染することで尿路感染症が発症します。お子さんの中でも3ヵ月未満の乳児が罹患しやすい細菌感染症と知られ、原因菌としては大腸菌が最も多いです。
発熱が主な症状ですが不機嫌や食欲低下など、特徴的な症状はありません。
診断は発熱時に尿検査することから始まります。当院では、尿路感染症が疑われるお子さんに対しては積極的に尿検査を行っていきます。
また、尿路感染では、膀胱尿管逆流などの先天性腎尿路奇形(CAKUT)を合併する頻度が多く、それらの有無の評価は重要です。
学校検尿や3歳半検尿での異常
当科では学校検尿や3歳半検尿での要精密検査を行っています。
尿検査の精査を受けられる方は、必ず受診当日の早朝第一尿をご持参ください。
起床時の尿と外来で採取した尿の2本で評価することがとても重要です。
精密検査初診の方は、事前に尿容器を取りに来られても構いませんし、綺麗に洗った空のペットボトルに入れられて持参されてもよいです。
ネフローゼ症候群、腎炎など
特発性ネフローゼ症候群
初発時は、顔(特にまぶた)や足のむくみ、尿が少ない、体重増加などを訴えて来院されることがあります。
溶連菌感染後急性糸球体腎炎
溶連菌に感染して約2週間後に、血尿、浮腫みや尿量低下、高血圧といった症状で発症します。尿所見は典型的にはコーラ色の肉眼的血尿を呈します。
IgA腎症
IgA腎症は小児、成人に関わらず最も頻度の高い慢性糸球体腎炎です。その多くが学校検尿で無症候性血尿、蛋白尿で発見されます。確定診断には、腎生検が必要になります。
紫斑病性腎炎(IgA血管炎)
下肢を中心とした左右対称に分布する紫斑、関節痛、腹痛といった症状がありIgA血管炎(アレルギー性紫斑病)と診断されます。発症から4週間以内に尿異常が出現することがあり、IgA血管炎のお子さんは定期的に尿検査を行います。
夜尿症
夜尿症とは
一般的には「おねしょ」と呼ばれることが多いですが、5歳以上のお子さんが月1回以上の頻度で夜間に尿失禁した状態で、これが3ヵ月以上続くとなれば夜尿症と診断されます。
ちなみに5歳児の2割程度に夜尿症がみられるとされ、年を経るごとに10%程度の方が治癒されていきます。成人になる頃には、ほとんどの方が治癒するようになります。
まずは、夜尿の原因が、2次的素因(他に病気があって、そのせいで多尿になっている)がないかを評価してから、夜尿のパターンを分類していきます。
- ① 多尿型
- ② 膀胱型
- ③ 正常型
- ④ 混合型
治療について
- おねしょは自然に消失率が高いものです。
- 原則は生活指導
焦らない、怒らない、起こさない(←これ重要) - 尿量が多い多尿型では、夕食後の水分摂取制限など生活指導をしていきます。
- 投薬やアラーム療法のオプションもありますが、個々の状況に応じて選択していきます。介入の目安として、小学校入学以降も夜尿があり、生活指導でも改善しない場合に検討します。